妊娠中の日常生活
妊娠中はお腹の赤ちゃんの成長とともに、
心身ともに大きな変化が起きます。
妊娠中も健やかな生活を送るために、妊娠中のすごし方や働き方などについて知りましょう。
妊娠中のすごし方
妊娠中に心掛けたいことを知り、妊娠中も健やかな生活を送りましょう。
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1-1. 妊娠中の生活の基本
妊娠中は、仕事や休息の仕方を見直すだけではなく、普段よりいっそう、食事や運動など、健康について意識してすごすことが大切です。
妊娠中の体は、お腹の赤ちゃんの成長に伴い、さまざまな変化が起きます。
出血、破水、お腹の強い張り、胎動の減少などの症状があれば、すぐにかかりつけの産科医療機関に連絡しましょう。
その他の気になる症状がある場合も、一人で抱え込まず相談することが大切です。妊娠中からの支援として、地域で伴走型相談支援が行われています。妊娠届の提出時に出産・育児についての見通しを立てるための面談をします。面談を受けると出産や育児関連用品の購入などに使える出産応援ギフトをもらうことができます。面談の際には、妊娠中や産後に受けられるサービスやサポートについても確認しておきましょう。
また、産後に地域で安心して育児ができるように、妊娠中に、赤ちゃんのかかりつけの小児科医を見つけておくと安心です。病気やけが、予防接種などのサポートをしてくれる、育児中の心強い存在となります。
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1-2. 妊娠中の休息
妊娠中は十分な休息と睡眠をとることが大切です。疲労回復やストレス緩和になり、妊娠期間中の心身の安定を図ることができます。
つわりがひどいときや夜あまり眠れないときなどは、空いている時間を見つけて横になる、目を閉じる時間をつくるなどして、少しでも休息をとりましょう。クッションや枕を使って、少しでも自分の楽な姿勢で休息をとりましょう。 -
1-3. 妊娠中の運動
妊娠中の運動は、出産・産後のための体力づくりや、体重管理などにも役立ちます。その日の体調や状況に合わせて無理なく運動を行いましょう。合併症がある方など、運動を控えたほうがよい方もいますので、妊娠中に運動を始めるときは、必ず主治医に相談してください。
妊娠中におすすめの運動は、ウォーキングやマタニティヨガといった有酸素運動で、運動しながら普通の会話ができる程度が目安です。転びやすいスポーツやお腹を圧迫するおそれのある激しい運動は避けましょう。
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1-4. 妊娠中の移動について
妊娠中に移動する際の注意点について知りましょう。
妊娠中の車の運転は、つわりなどの体調不良時や眠気が強い場合、お腹が大きくなる妊娠後期には、自分で運転するのを極力避けましょう。
シートベルトの着用は、妊娠中も義務づけられています。シートベルトを正しく着用することにより、交通事故に遭った際の被害から母体と胎児を守ることができます
(ただし、シートベルトをすることが健康保持上適当でない場合を除きます)。妊娠中は、事故などの際の胎児への影響を少なくするために、腰ベルトと肩ベルトを共に着用し、大きくなった腹部をベルトが横切らないようにするなど、正しくシートベルトを着用することが必要です。
正しいシートベルトの着用方法は、警察庁のウェブサイトに掲載されている「幼児や妊娠中の方の場合」の動画やこちらのイラストで確認しましょう1)。また、妊娠中は血管の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなるため、足などの血管に血栓ができたり、その血栓が肺などの大きな血管を塞いでしまうことがあります(静脈血栓塞栓症)。旅行中に長時間体を動かさない場合、そのリスクはさらに高まる可能性があります。長時間の移動の際は、こまめな休憩や水分補給、定期的に足を動かしたりすることも大切になります。
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1-5. マタニティマークを
活用しようマタニティマークは、妊産婦が交通機関や職場、飲食店などにおいて身につけることで、周囲の方が妊産婦さんへの配慮を示しやすくするものです。また、緊急時や災害時には、妊産婦さんであることを知らせやすくなります。
妊娠中のお口の
健康と管理
妊娠中に起こりやすいお口のトラブルと、お口の健康のための妊婦歯科健診について知りましょう。妊娠中の歯科に関するQ&Aも読んでみましょう。
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2-1. 妊娠中はお口のトラブルに
なりやすい妊娠中は、ホルモンの影響や食の好みの変化、つわりにより丁寧な歯みがきが困難になることなどから、お口の中の環境が悪化したり、その結果、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。つわりの時期には、できるだけ気分のよいときに歯みがきを行い、みがけないときは、うがいを心がけましょう。
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2-2. 妊婦歯科健診を受けよう
妊娠中は、日常の口腔ケアに加えて定期的な歯科健診を受けることが大切です。つわりがおさまる頃に妊婦歯科健診を受け、歯科治療が必要な場合はお腹が大きくなる前に治療を済ませましょう。
妊娠中や
産後の働き方
妊娠中や産後に安心して働くことができるように、妊娠中や産後の働き方に関する制度の活用についてご紹介します。
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3-1. 妊娠がわかったら
妊娠したら、ママとお腹の赤ちゃんの健康のために、定期的に妊婦健診を受けましょう。勤務時間中に健診などを受けるための時間が必要な場合は、時間を確保することができますので、必要時、勤務先に申請しましょう。
「働く女性の心とからだの応援サイト」の妊娠初期の内容を参考にしましょう。 -
3-2. 妊娠中の職場でのすごし方
妊娠中も安心して働くことができるように、医師などの指導にもとづいて利用できる制度として、通勤緩和の措置や妊娠中の休憩に関する措置などがあります。
また、申請すれば、他の軽易な業務に転換することもできます。
「働く女性の心とからだの応援サイト」の妊娠中の内容を参考にしましょう。 -
3-3. 母性健康管理指導事項
連絡カードの活用母性健康管理指導事項連絡カードとは、妊娠中や産後の女性労働者が医師などから受けた指導内容を勤務先に伝えるためのカードです。妊婦健診の結果、医師などより、通勤緩和や勤務時間短縮等の措置が必要であると判断された場合、連絡カードを用いて、勤務先に措置を申請することができます。
「働く女性の心とからだの応援サイト」の「母健連絡カード」の内容を参考に
しましょう。 -
3-4. 産休・育休をとるとき
出産前後に取得できる休業や活用できる制度を知り、早めに勤務先に相談しましょう。
「働く女性の心とからだの応援サイト」の産前・産後の休業に関する内容を参考にしましょう。産後パパ育休(出生時育児休業)
令和4年10月1日から新しく始まった制度です。父親は、子の出生後8週間以内に4週間まで、育児休業とは別に、子育てのために休業することができます。
妊娠中や育児中の働き方・休み方に関して困ったことがあれば、お近くの都道府県労働局に相談しましょう。
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3-5. 産後の働き方
こどもを育てながら仕事を続けるために、育児のための短時間勤務制度などや、こどもの保育をサポートするサービスを知り、活用しましょう。「働く女性の心とからだの応援サイト」の育児のための短時間勤務制度などの内容を参考にしましょう。
育児などのために退職した方への再就職支援
こども連れでも安心して就職の相談ができるマザーズハローワークを活用しましょう。一人一人の状況に応じた就職活動のサポートや、子育てと仕事の両立を目指せる仕事の紹介をしています。
保育所などを利用したいとき
認定こども園や保育所、幼稚園などの情報を、お住まいの地域や最寄り駅などから検索することができます。施設の詳細が地図情報とあわせて閲覧できますので、こども・子育ての情報は「ここdeサーチ」2)を活用しましょう。
また、一部の自治体では、認定こども園や保育所などの保育施設、一時預かりなどの保育サービスを、円滑に利用できるようにサポートしてくれる利用者支援事業を行っています。保育コンシェルジュと呼ばれることもあります。仕事復帰のために保育所の利用を考えている方は、お住まいの市町村の窓口に相談するなど、早めに情報収集をして、自分たちの育児環境や働き方にあったサービスを選択しましょう。
妊娠中の家族の
すごし方
上のこどもとの向き合い方について理解を深めましょう。
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4-1. 上のこどもとの向き合い方
2人目以降の出産では、上のこどもたちとの接し方として、こどもたちの行動の裏にある感情を読み取ってあげることが大切です。
ママの愛情が自分以外に向いてしまうことに不安を覚え、妊娠中から赤ちゃん返りが始まるこどももいます。今までできていたことができない、抱っこをすぐに要求するなどの赤ちゃん返りは、不安でいっぱいだからこそ、自分へ関心を向けて欲しいという、上のこどもなりのサインです。上のこどもとすごす時間も設け、安心させることが大切です。
こどもたちへの接し方は、夫婦・家族で話し合うことが大事です。こどもへの接し方などで気になることや、悩みがあるときには、自治体の子育てに関する相談機関であるこども家庭センター(地域によって名称が異なる場合があります)などに相談してみましょう。
妊娠・出産・産後の
各時期に
受けられる
支援制度などについて
妊娠・出産・産後の各時期に受けられる支援制度を知り、経済的不安を少しでも減らしましょう。
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5-1. 妊娠したら受けられる
支援制度など妊婦健康診査(妊婦健診)
妊婦健診は、ママや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものです。妊娠中は、普段よりいっそう、健康に気をつけなければなりません。妊婦健診を定期的に受診し、医師や助産師などに相談し、その時々の生活状況に応じたアドバイスを受け、出産・育児の準備をしましょう。
健康診査費用には、公費による補助制度があります。妊娠がわかったら、お住まいの市町村へ妊娠届を提出しましょう。出産育児一時金について
健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産したときは、出産育児一時金が支給されます。直接支払制度や受取代理制度を利用したときには、退院時に、その金額を超えた分の支払いをします。
出産育児一時金は令和5年4月から支給額が50万円(産科医療補償制度の対象分娩でない場合は、48.8万円)に引き上げられています。また、適切に分娩取扱施設を選択できるように、各分娩取扱施設の出産費用やサービス内容を確認できるウェブサイトが令和6年春を目途に開設される予定です。 -
5-2. こどもの医療費などの支援
子育て世帯が受けられる助成についてご紹介します。
児童手当について
児童を養育している方に支給されます。支給額は児童の年齢などによって異なりますので、こども家庭庁やお住まいの市町村のホームページをご覧ください。お住まいの市町村に申請が必要です。市町村の認定を受ければ、原則として、申請した月の翌月分の手当から支給されますので、児童手当制度の案内を参考に、申請は早めにしましょう。
こどもの医療費について
こどもの医療費を助成する制度です。お住まいの自治体で手続きをすることで助成を受けることができます。各都道府県、市町村により助成対象の年齢や内容が異なるため、助成内容を確認しましょう。
【出典】
1) 妊娠中の正しいシートベルト着用方法:警察庁2) ここdeサーチ(子ども・子育て支援情報公表システム)ウェブサイト